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未解明の体験談/第五話「解放されたモノ」
2007 / 09 / 14 ( Fri )
第五話「解放されたモノ」

これは、私が高校生の頃に体験したことだ。
その頃は、弟が中学校に通い始めたばかりで、弟は毎日不機嫌だった。新しい学校に不慣れで友達も新しく作れずにイライラしていたのだと思う。
とにかく、その頃は、やたらと八つ当たりを受けていたような気もする。私が楽しくゲームをしていると、弟がふらーっとこちらに近付いてきて「つまらない」と一言発したかと思うと、いきなりゲーム機械の電源を落としたり、またあるときは、本を夜読んでいる時も同じように「つまらない」と言って、電気を消してきたり。
要は、弟からしてみたら、自分がこんなに苦しんでいる傍で、一緒に暮らしていて、同じ時間を過ごしている人が楽しそうにしているのが、目に付いてむかついていたのだとは思う。

仮に私がそこで、弟のやってくる仕打ちに腹を立てて同じような仕打ちを弟に対して、やってのけたら、弟はさも自分だけが被害者のような顔をして親に事細かに話すことなど火を見るよりも明らかだったため、敢えて何もしなかった。そして、逆に私が事細かに弟の仕打ちを親に説明したところでせいぜい、少しは我慢しなさい、年上なんだからだとか言われて終わりというのが過去からの経験上わかりきっていたことだったので、それも敢えてしなかった。
私の取った行動は、たった一つだけ。弟のことを怒りもせず、可哀相な坊やだねと見つめてあげるだけにした。

そんな態度で毎日接しているうちに、弟は、私に対してちょっかいも出さなくなった。ただただ毎日、「つまらない」「つまらない」と、ぶつぶつ言って時間を潰すようになった。
そうすることにも飽きたのか、突然、弟が暴れ始めた。一見するとキレたようにしか見えなかったであろう。その行動で、家の壁に所々傷が付き、一カ所だけ壁に拳大の穴が出来た。でも、その時はああ、暴れているなあ、って程度で見ているだけだった。
この時はまだ切れてもいなかっただろうし、切れているとも思っていなかった。

そう、弟がキレたと思ったのはある夜の出来事があったからだった。
その夜、弟はいつもよりも静かに眠りについた。
普段なら「つまらない」と言いながら手足をばたつかせてから寝るというのに、そういうこともしないで、普通に眠ってしまった。てっきり昼間疲れたから、静かに寝たのかと思い、私自身もすぐに眠りについた。
それから夜中になり、突如妙な感覚に襲われ、目を覚ました。
ふと周りを見回して弟の方を見ると、弟はぐっすりと眠っていた。気のせいだなあっと思って、もう一度寝ようとすると、弟の掛け布団が急に浮き上がった。どうやら弟が足で蹴り上げたらしい。それはいつものことだったから気にしないでいたのだが、その後に異常なことが起きた。

なんと弟の上半身だけが起き上がったのだ。その起きあがり方が変だったのだ。
何というか、お腹を曲げず、首も曲げず、ゆっくりと起き上がった。まるで水平になっていた板が垂直に立つような光景だった。
そして首を後ろの方に向けて、つまりは私が寝ている方向を向いたわけで。別に某映画のように首が回転したわけではない。人の首が回る許容範囲内で動いていた。
目は白目を剥いて、目がしっかりと見開かれていた。
はっきり言って、かなり怖かった。いっそのこと、起きている時に、「あんたの態度むかつくんだよ」とか怒鳴られた方がマシだった。
とにかく、はっきりと感じられたことは、この私の目の前にいる弟は、弟ではなく何か別のモノであることだけは感じていた。

しかし、何の対策も出来ないまま、時間だけが過ぎていった。時間にすれば、大した時間ではなかったかもしれないが数秒が数分にも感じられた。弟の形をしたものは、私のことを見たまま、動く様子はなかった。
しかし突然口が開いて、息が漏れる音が聞こえ始めた。
初めは声になっていなかったが、段々と何かが聞こえてきた。
しかし、全く聞こえなかったのだ。正確に表現するのなら、その音が声なのか歌なのか、何なのか判断出来なかったのだ。息継ぎの様子もなく、音が途絶えることもなかった。どこかで止まるなり、何らかのリズムがあれば、どこか他国の言語か何かだとも思えたが、音はただ弟の口から流れ続けるだけだった。

段々と一種の呪文か何かなのではないかと思え始めたとき、言うことが出尽くしたのか、急に音が止まった。そして、弟の口が閉じて、首も元の真正面を向いて、また元のように布団に倒れていった。倒れるときも起き上がったときと同じように板のようにまっすぐに倒れていった。
そのあと寝息が規則正しく聞こえてきた。ようやく終わったと思い、私も眠りに就いた。
次の日の朝、弟に昨夜のことを何か覚えていないかと尋ねたが、「ぐっすりと眠っていたから覚えていない」と答えが返ってきた。別に夢のことを聞いたわけではなかったのだが、そのことを深く追求はしなかった。

その出来事があった後から弟の機嫌は急に良くなって、学校にも楽しく通えるようになったようだった。そして、口癖のように言っていた「つまらない」という言葉も滅多に言わなくなった。
あのことは何だったのかと考えると、私には二つの仮説が浮かんでいた。
まず一つ目が弟の溜まったストレスが弟の無意識の時に現れ、発散するためにあのような行為をしたのか。
それともう一つ、何者かに取り憑かれて弟の機嫌が悪くて、周りに当たり散らしていたのか、そのどちらかだと思う。

ちなみに、その後はそういったことに遭遇していない。まあ、もしかすると気付かないだけであって、私もしくは近しい他人も、誰も見ていない夜に、そういうことをしているのかもしれない。それは誰にもわからないことである。

後味の悪い体験であったことも一つの事実。

眠り猫 wrote.
16:29:21 | 未解明の体験談 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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