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未解明の体験談/第八話「すれているモノ」
2007 / 09 / 14 ( Fri )
第八話「すれているモノ」

私は、よくお風呂に入っているとき、台所で何かがこすれる音をよく聞いている。その音も家族が台所にいない時に限って起きる。
今では、その現象の理由もわかっているから、気にならなくなったが小学生の時はとても怖かったことを覚えている。理由がわかってからは、小学校の時分でも、怖さはなくなったが。とりあえず、そんな話である。

その理由を知ったのは、私が小学校四年生頃のことだった。
それまでも奇妙な音は聞こえていた。布がフローリングの床にこすれる音や、素足で歩くような音がペタッ、ペタッ、というような悠長な音ではなく、ペタペタペタというように凄い勢いで聞こえることがたびたびあった。
最初のうちは、子供心にゴキブリの音か、ネズミでも行進しているのだろうと思っていた。しかし、そんなことを思っていられるのも、そう長くはなかった。

何故なら、そんなものは存在していなかったからだ。そして、音が聞こえる時は必ずと言っていいほど家に私以外誰も家族がいなくて、1人で留守番しているような時で、尚かつ音のする台所から壁越しかドア越しにいる時だけだった。
そんな時に台所に続くドアを開けると音は常にピタっと止んだ。

そして、遂に理由を知る時が来た。その日はよく晴れていて暑かった。
私が学校から帰ってくると、家には鍵がかかっていて、誰もいないようだった。
きっと家族は買い物にでも出かけているのだろうと思って、渋々ながら鍵を取り出して、ドアを開けた。その日は、何度も言うようだが晴れていた。
日が真上にあるような時間だった。それにも関わらず、家の中は真っ暗だった。まるでそこだけ真夜中になっているかの如く、暗かった。
当然、家に鍵がかかっていたので、家には誰もいなかった。一応、「ただいま」と言ってから入ったが、返事は返ってこなかった。
部屋が暗いのは、雨戸でも完全に閉めて出ていったのだろうと思い、窓を見ると、全ての窓に雨戸はかかっていなかった。カーテンもかかっていなかった。それなのに、暗かったのだ。

まあ、そんな奇怪な事態になっている段階で、家族が戻ってくるまで家に入らないというのも後になって考えると有りだったのだが、そのときは学校の帰りだったということもあって、背中にしょっているランドセルを今すぐにでも放り出したかった為、そうっと玄関に入った。
それで、靴を脱ごうとしたとき、台所の方で人の足音が聞こえた。
泥棒かと思って、恐る恐る廊下の先にある台所を玄関から、そっと顔だけ覗かせてつまりは玄関にしゃがみこむ姿勢で台所の床を見た。

そこで見たものは、大変ショックの大きいものだった。
それは人の両手と両足だった。それがペタペタと床をたたいていた。
よくよく見れば見るほど、泥棒ではないことがわかった。その物体は何かを盗ろうとしている動きではなかったからだ。ただ両手と両足で床をペタペタと叩いているだけだった。
それは、人だと思った。髪を長く伸ばして、ぼろぼろの布きれというか着物のような物が見えた。そういう物体が四つん這いで台所の床を円を描くようにぐるぐると這い回っていたのだ。
顔は髪の毛に隠れていて見えなかったため、男なのか女なのかわからなかった。それが這い回るたびにぼろぼろの布きれが床にこすれて衣擦れの音を立てていた。その瞬間に今まで聞いていた音の正体が判明したわけだ。

思わず、「なにあれ」と小さく呟いた。
すると、這い回っていたものは、突然私の方に向きを変えて、こちらに顔を向けた。顔はしっかりと見えなかったが、目だけが赤く光っていた。それは充血したような血走った目であった。
それは、四つん這いのまま、私の方にペタペタペタペタともの凄い勢いで近付いてきた。私は、うわあって悲鳴を上げて、ドアを開け放したまま玄関から転がり出るように、表へと駆けだした。後ろを見ることなんて怖くて出来ず、ただ人が大勢いると思う場所に向かって走った。

ようやく辿り着いたのは近所の公園だった。そこまで走ってようやく落ち着いて、立ち止まり、深呼吸して辺りを見回すと、友達が遊んでいるのが目に入ってきた。
友達に一緒に遊ばない?って誘われたが、ここに来てようやく、家のドアを開け放したまま出てきたことに気が付いて、その誘いを断って、家に戻った。
それで、家の近くまで来てぴたりと足を止めた。さっきの奴がいるのを見るのは嫌だなあって思いながら、目を瞑ったまま家に入った。それで、音が聞こえないように大きな声で歌を歌いながら、昼間だというのに部屋の全ての灯りを点けて回り、それからゆっくりと目を開けた。

辺りを見ると先程あったことが嘘のように静まりかえっており、台所に行っても人の足跡やら手形など何もなかった。それでも安心は出来なかった為、いつあれが戻ってくるか、わからなかったから、その日は親が帰ってくるまでずっと玄関に座って靴を履いて待機していた。
それから夕方になってから親は帰ってきて、悲鳴をあげた。何故なら、玄関に座り込んでドアを凝視する私がいたのだから。
そりゃあ、ドアを開けた瞬間に目の前に人が座り込んでいたら驚くのは仕方ない。だけど、それが人でなかったら、もっと驚くことになる。
そして、その日の昼にあったことを親に話したが、勿論相手にされなかった。

そのことがあってからしばらくの間は、私がお風呂に入って、出るまでの間、親に台所にいてくれるようにお願いした。段々と慣れてきた頃には、見えたとしても気にしなくなり、音が聞こえて気にしたくないときは、上でも向いて天井でも見ながら台所を抜けることにしている。
そして、未だにわからないのは、何故いつまでも同じ場所を這い回っているのかということである。今も昼夜問わず、人気がなくなると、あれは這い回っているのだろう。

目を血走らせ、何かを探すために・・・。

眠り猫 wrote.
16:54:29 | 未解明の体験談 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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